日本の名水が教えてくれる、「おいしい水」の条件とは

日本は、世界でも珍しい「軟水の国」です。

ヨーロッパの多くの地域で飲まれている硬水と比べて、日本の水にはカルシウムやマグネシウムの含有量が少なく、口当たりがまろやかで、やさしい味わいがあります。この軟水こそが、日本の食文化を根底から支えてきた存在です。

なぜ日本の水は軟水なのか

理由はシンプルです。日本の国土は急峻な山地が多く、雨水が地中を通過する時間が短い。ゆっくりとミネラルを溶かし込む時間がないため、自然と軟水になります。

一方、ヨーロッパ大陸では、広大な平野の地下を水がゆっくりと移動するため、ミネラル分を多く含んだ硬水になります。

この地形の違いが、食文化の違いを生みました。

軟水が生んだ食文化

日本の軟水は、繊細な味の抽出に優れています。

出汁文化がその代表です。昆布の旨味成分であるグルタミン酸は、軟水でこそ効率よく抽出できます。硬水で昆布出汁をとると、ミネラル分がグルタミン酸の抽出を阻害し、雑味が出てしまいます。

同様に、お茶の文化も軟水あってのもの。玉露の繊細な甘みや、煎茶の爽やかな渋みは、軟水で淹れることで最大限に引き出されます。

そして日本酒。「酒造りは水が命」と言われるように、名酒の産地には必ず名水があります。灘の宮水、伏見の御香水、新潟の越後山脈の伏流水。それぞれの水の個性が、酒の個性になっています。

「おいしい水」の条件

環境省が選定した「名水百選」の水には、いくつかの共通点があります。

まず、硬度が20〜60mg/L程度であること。硬度ゼロの超軟水は味気なく、適度なミネラルが「おいしさ」を感じさせます。

次に、水温が10〜15℃であること。この温度帯で人は水を最もおいしく感じます。湧き水の温度が年間を通じてこの範囲にあるのは、地下水ならではの特性です。

そして、有機物が少ないこと。清浄な地層を通過した水は、不純物が少なく、透明感のある味わいになります。

毎日の水を見直してみませんか

私たちの体の約60%は水でできています。毎日飲む水の質を少し意識するだけで、体調や味覚に変化を感じる方は少なくありません。

まるまるほんまるでは、日本各地の水の恵みと、水にまつわる文化を紹介していきます。次回は、九州の名水スポットと、その水が育てるお米の話をお届けします。


この記事は「水の恵み」シリーズの第1回です。



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